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「コミュニケーションデザインとは」に対する私の答え

更新日:2018年4月6日


あなたは、コミュニケーションデザインと聞くとどんなイメージを浮かべますか?


読んで字のごとく「コミュニケーションをデザインする」なんですが、イマイチ分からないのではないかと思います。


今回はコミュニケーションデザインの私なりの解釈と、なぜコミュニケーションデザインを軸として事業を始めたのかをお話しします。


コミュニティデザインとコミュニケーションデザイン


近年では似通った名前ではコミュニティデザインが注目されていますが、それとは違います。


コミュニティデザインはstudio-Lの山崎亮さんが提唱したもので、人がつながる仕組みをデザインし、賑わいを生み出したり、その地域で暮らす方々が自らの力で課題解決をするお手伝いをするもの。


近年では地方創生の流れも受けて、高校や大学でも専門的に学ぶ若者が増えています。


参考図書


では、コミュニケーションデザインは何かというと、コミュニケーション=「思いや意思が伝わり、理解・共感されること、合意形成がなされること」としたとき、その間にある「つながり」をデザインすること。


人がつながったことで生まれるコミュニティのデザインではなく、つながりの間にあるコミュニケーションのデザインという訳ですね。


また、デザインという言葉には「課題を解決する」という意味が込められているといわれています。


そのことから、人と人のつながりの間にある課題を解決することがコミュニケーションデザインの領域です。


「人に伝える」ということを考えた時、最も分かりやすいのが外に向けて発信をする広告が一番分かりやすいと思います。


自分たちが伝えたいメッセージや大事にしたいコンセプトをコピーやイラスト、写真、ロゴなどで視覚化し、自分たちから外に向けて発信してコミュニケーションをとる。


商品を売りたい企業にとっては、数多くある商品のなかでお客様に手に取ってもらいたい。

そこで、「この商品はこんなところがウリで、美味しいんだよ。しかも期間限定だよ」ということを、コンセプトにもとづき様々な角度から表現していきます。


形にしたものをCMやチラシ、デジタルマーケティングも駆使しながら発信していくことでこの「うちの商品を買ってもらいたい」という課題を解決していくんですね。


広告業界では、主にコンセプトをつくる、伝える相手を想定する、メッセージを絞る、伝え

る手段の組み合わせを考えることでビジネスが成り立っているといえます。


広告をつくることが目的ではなく、伝えたい相手とコミュニケーションが達成されることを前提とした発信。その手段としての広告。


それが外に向けたコミュニケーションだと思います。以前の私はこれで終わっていたことがほとんどでした。


しかし、ふとした時これだけで果たして「人と人の間にある課題の解決」は網羅できているのだろうかと思うようになりました。


広告だけでは上手くいかない理由と新たな可能性との出会い


それは、前職のリクルートで広告企画営業をして2年ほど経ったころ。


その当時は決して賞レースを競うような売れる営業マンではなかったのですが、お客様と良い関係を築き、可愛がっていただいていました。


信頼を積み重ね、ロジックだけでなく提案する企画の可能性を買っていただきお取引をしていたところが多かったと思います。


”妥協せずに良いものをつくろう”

”この学校の魅力をつたえるコピーはこれだ”

”写真はこっちがいい”


そんな思いのもとで時間を忘れ、制作ディレクションにも積極的に介入し、とにかくより良いサービスの提供にこだわっていました。


いいものが出来た時には、お客様と一緒に喜び、そこにやりがいを感じていました。

しかし、肝心な「成果や結果」がついてこない。


もちろん、東京と東北では全然環境が違うのは確かです。  


しかしものが売れない成熟社会、人口減少というマーケット環境のせいにしたら簡単ですが、それは我々の限界を認める気もしてそうしたくはありませんでした。

いただいている広告費に見合ったものをと、効果補てんの意味も含め、多岐に渡って色んなお手伝いさせていただいたのが記憶に残っています。


そんな思いを持ってもやもやしながら仕事をしていたとき、一部のお客様で打合せでこぼしている言葉が気になりました。


「いい提案だと思うけど、上司が理解できていない」

「うちは保守的だからこうしたものにはチャレンジしない」

「現場の人間は危機感が足りないから」

「○○には何をいってもダメで」


あれ…


互いにディスりあい、会議はしているものの「対話」がないという状態。

悪くなったら他責にしあい、終いには人が抜けていく組織。

お金を掛けるか否かは検討の土台に上がるのに、コミュニケーションに時間を掛けるか否かは検討の土台にすら上がらない。


結果が伴って上手くいっているお客様よりも、上手くいっていないお客様ほどこの上司/部下に対する愚痴や不満が多いことに気が付きました。


当たり前ですが、結果が思わしくない組織はコンディションも良くないと思います。

しかし、卵が先か鶏が先かでいえば、組織コンディションが悪いから結果も伴わないという考え方もできるのではないでしょうか。


そんななかでひたすら広告を打っても、穴の開いたバケツに注ぐ水の量や蛇口の数を増やすようなもの。接触しても離脱が多く、十分な効果は得られないのではないでしょうか。

そんな疑問を抱えはじめたとき、当時制作部署でクリエイティブディレクターをしている先輩が東北にやってきて、勉強会をしてくれました。


内容については割愛しますが、そこで話してくださったことが、組織へ介入するファシリテーション等と組み合わせたコミュニケーション戦略でした。


制作なのに広告制作を前提としないということ。まさに目から鱗です。


そこから、先述の外に向けてメッセージを発信すること(=アウターコミュニケーション)に加え、発信すべきメッセージを生む組織の関係に働きかけること(=インナーコミュニケーション)に可能性を見出だし、様々な企画をお客様へ提案するようになりました。

当然、すぐに成果につながらないこともありましたが、一定取り組んだ組織では変化と手応えを得ることが出来ました。 


生み出された言葉やコンセプトが、チームを一丸にするきっかけにもなりました。

これが私のコミュニケーションデザインの出会い、そして原点です。


私が考える「コミュニケーションデザイン」の在り方


私が大事にしたいコミュニケーションデザインの考え方。

それは外に向けて発信するコミュニケーションはもちろんのこと、組織やチーム内のコミュニケーションを活性化させることから課題解決を図っていく。


自分たちが伝えたい対象者に、様々な手法で刺さるメッセージを発信していくアウターコミュニケーションの一極化による「張りぼてのブランド」ではない。 


価値を体現し、価値を生み出す人の力を最大限に引き出し、名実ともに内外から愛される「真のブランド」を共につくること。


イメージすると図のように、アウターコミュニケーションとインナーコミュニケーションが、コンセプトやビジョンなどの下に作られた状態です。



外に向けた広告、広報戦略はとても大切です。


しかし、それだけで一進一退を繰り返すような状況であれば、組織やチームのコンディションを一度見直してみてはいかがでしょうか。


どんなチームで在りたいか。そして社会へ向けてどんな価値を生み出すのか。

インナーコミュニケーションへの問いかけから、新しい組織の可能性も開けてくるかもしれません。 


そんなお手伝いをパートナーとして、思いをもってさせて頂けたらと思います。


自分なりの考えなので、人によっては解釈は変わってくるかもしれませんが、「コミュニケーションデザインってそういうことね」と少しでもイメージが沸いたのであれば幸いです。


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